こんにちは。紅茶です。
今回ご紹介する本はこちら。
『神さまのビオトープ』
どんな本?
基本情報
内容紹介 & おすすめしたい方
うる波の夫「鹿野くん」は事故で死んでしまった。
しかし彼は幽霊になって側におり、生前と変わらぬ様子で話しかけてくる。
うる波にしか見えない夫の幽霊。
幽霊でもいいからそばにいたいと願い、密かに”2人の生活”を守ろうとするうる波と、“常識”から外れた愛や友情を持った人々のお話。
・” 常識”や”普通”に疲れた方
・ちょっと変わった恋愛や友情が好きな方
読みやすさ
サラッと読みやすいです!
続きが気になり、どんどん読み進めたくなる本でした。
この本の魅力
”普通”とは違う生き方
「夫の幽霊と暮らす女」
「人間の友達は作らず、ロボットの友達と過ごす少年」
「幼い少女を愛する青年」など…
”普通”の愛情や友情とは違う登場人物ばかりです。
彼らは悩み、苦しみ、自分なりの答えを出して、それに従って必死に生きている。
その姿が魅力的です。
何が幸せか考えさせられる
いわゆる”一般的な幸せ”ってありますよね。
その型にはまっている間は人は優しいけれど、そこから外れると正そうとしてきます。
それでも、自分にとって大切なのは何か…。考えさせられます。
紅茶の感想
かなり好みな小説でした
悲しくて息が苦しくなってきました…。
一見普通の日常のお話に見えますが、根本から歪んでいます。
幽霊がいたり、ロボットと会話をしていたり、物語味の強い部分もある小説でした。
ですが、現実のこの世界でも、みんな同じ世界にいるように見えるけれど、実は違うところにいる。
本当はそれぞれ自分(たち)だけの世界で生きていて、違うものを見ている。
それなら、この小説は物語味の強いお話ではなく、リアルに近いお話なのかもしれません。
不安定なものを守る姿
不安定なもの(=常識から外れたもの)を抱えているというのは、かなりの精神的な苦痛を伴います。
それでも、それらと闘ってでも”自分の夢”を守ろうとする人々。
自分ではどうすることもできない、”不安定”故の祈りの美しさと、時折”幸せな夢”から目を覚ましてしまいそうな危うさ、悲しさに惹き込まれました。
皆様もぜひ『神さまとビオトープ』をお楽しみください。
最後に、私の心に残った言葉を引用しておしまいにします。
ありがとうございました。それでは(・v・)ノシ
誰にも語られず、長い時間、密かに心の中にしまわれているもの。それがわずかな過失でこぼれる瞬間がもっとも美しいと鹿野くんは言う。
凪良ゆう『神さまのビオトープ』(講談社タイガ、2017年)P.94より