こんにちは。紅茶です。
今回ご紹介する本はこちら。
『腹を割ったら血が出るだけさ』
どんな本?
基本情報
あらすじ紹介 & おすすめしたい方
「愛されたい」という感情に支配され、偽りの自分を演じる女子高生、茜寧。
そして、死にたくなるほど、そんな自分が大嫌いだった。
ある時、何気なく手に取った小説に衝撃を受け、その登場人物の「少女」に自分を重ねるようになる。
そして、街の中で偶然、小説の登場人物「あい」にそっくりな人と出会い、友人になる。
「愛されたい」から解放されるため、「あい」と共に小説の出来事をなぞらえていくが…?
それぞれの切実な願いを抱える若者たちの、少し歪んだ青春群青劇。
・高校生さん
・自分を演じていると感じている方
・青春群青劇が好きな方
読みやすさ
内容自体は難しくはないですが、400ページあってなかなか長いです。
もしかしたら、少し読みにくいかもしれません。
この本の魅力
後半の盛り上がり
前半では表面上の平穏を保っていますが、後半に一気に崩れていきます。
前半を丁寧に書いてきたからこその後半での盛り上がり!
とても楽しめました。
不安定な登場人物たち
・愛されたくて偽りの自分を演じてしまう少女
・自ら望んで過去を捨て、偽りの自分を作り上げるアイドル
・自分の心を保つため、人の失敗を探し続ける少年
皆が今にも崩れそうな不安定な立ち位置で、必死に自分を守ろうとしています。
その姿に自分を重ね、共感できる部分もあるのではないでしょうか。
紅茶の感想
青春ですねぇ…。
表紙のイラストが綺麗で好きです。
女の子を囲む赤い花々がタイトルにある「血」のように見えて、少し不穏さを感じつつも、透明感のあるイラストです。
若者に響く本かもしれない
読了して第一に思ったことは、「もしもこの小説を高校生の頃に読んでいたら、今よりももっと響いていただろうな」ということでした。
あの時期に感じられる特有の気持ちや葛藤を、言葉にするのが上手い小説家さんだなぁと思います。
何だか懐かしい気持ちになりました。
「愛されたい」と願い、偽りの自分を演じる女子高生。
程度は違えど、みんな彼女のように愛されるため自分を演じたこともあるのではないかと思います。
彼女のように「本当の自分を理解してくれる人が欲しい」と願うことも。
そして、多感な学生の時期だとよりその気持ちが強いのではないか、と。
そういった点では、やはり若者へ向けた小説なのかなと思います。
(私は成人していますが楽しめましたので、大人が読んでももちろん楽しめます。)
それから、一番最後のセリフに痺れました!締め方もうまい…。
皆様もぜひ『腹を割ったら血が出るだけさ』をお楽しみください。
ありがとうございました。それでは〜(・v・)ノシ
余談
最近『推しの子』というアニメを見ました。
推しのアイドルの子供として転生するお話なのですが、見ていて本書『腹を割ったら血が出るだけさ』を思い出しました。
『推しの子』には「愛しているという嘘を本当にするために嘘をつくアイドル」というキャラクターが登場するのですが、本書の「自分を偽るアイドル」を彷彿させたからかもしれません。
おそらく、このアニメが好きな人は本書も好きで、逆もまた然りなんじゃないかなぁと思います。
個人の推測なので断定はできませんが…。よろしければこちらもどうぞ。
アニメ
漫画1巻