こんにちは。紅茶です。
今回ご紹介する本はこちら。
『汝、星のごとく』
どんな本?
基本情報
あらすじ紹介 & おすすめしたい方
瀬戸内の島で暮らす高校生の暁美(あきみ)と、京都から転校してきた櫂(かい)。
暁美は浮気して出て行った父親に執着する母親に、櫂は自由奔放で放任主義な母親に振り回されていた。
お互い心に傷を抱えていた2人が、とあることをきっかけに恋仲になり、惹かれあい、すれ違い、成長していく15年間の物語。
「その愛は、あまりにも切ない」というキャッチコピーそのままに、心が締め付けられ、それでいて自由になれる、十人十色な愛が胸を打つ名作。
・自由を求めている方
・常識に雁字搦めにされている方
・本屋大賞受賞作が気になる方
読みやすさ
難しい言葉もなく、読みやすいです。
ハードカバーで分厚いため、敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、続きが気になりどんどん読み進めたくなる一冊で、そこまで苦にならないと思います。
この本の魅力
暁美と櫂の15年間
高校時代に出会い、恋人になって幸せを感じ、お互いに働くようになると少しずつすれ違い、戻れないところまで来て、そして…と、2人の恋愛模様、生き方に惹き込まれます。
離れても、他の誰かといても、最後に心に想うのは相手のことという一途な愛も素敵でした。
自分に素直になれる
本書には心が動かされる名言がいくつもあります。これは私の心に残った一部です。
他にもたくさんありますので、ぜひ自分のお気に入りの一文を探してみてください。
”「いざってときは誰に罵られようが切り捨てる、もしくは誰に恨まれようが手に入れる。そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ」”(P.93)
“パートナーがいてもいなくても、子供がいてもいなくても、自分の足で立てること。それは自分を守るためでもあり、自分の弱さを誰かに肩代わりさせないということでもある。人は群れで生きる生き物だけれど、助け合いと依存は違うからーー。“(P.302)
”結局一番のがんばれる理由は『ここは私が選んだ場所』という単純な事実なのだと思う。”(P.323)
紅茶の感想
読み応えがあり、読了後「すごいものを読んでしまった…」としばらく余韻に浸っていました。
凪良さんの作品を読むのは3冊目ですが、この方の書かれる「愛」や「家族」の形はいわゆる「普通」とは違い特殊で、魅力的で、危うげで、それでいて美しいなと感じます。
登場人物の言葉に感銘を受けたり、弱っている時の心の声に自己投影したり、深く考えさせられる作品でした。個人的に、北原先生がお気に入りです。
(母親が子供に執着するという親子関係のシーンも多くありました。そういったものにトラウマがあったり、苦手な方には少しきつい内容かもしれません。ですが、そこから自由にしてくれるような内容でもあると感じます。)
人生は複雑
暁美も櫂も、親のために心をすり減らし、苦しみ、自分の逃避できる世界を見つけ、そこに力を注ぎながら生きています。この2人の人生をどう思うかは人それぞれですが、本当は私たちが決めつけることではなくて、2人の人生は2人のものなんですよね。
大切な人にできるのは、全てを理解できなくても理解しようと努力し、寄り添い、心を共にすること。
それだけのような気がします。そして、それだけが幸せを感じる手段なのかな、とも。
世界には「正しい」「常識」とされることはあるけれど、それだけで人は救えない。
愛は偉大ですね…。あとお金。お金の大切さもこの本で学びました、割と本気で。
皆様もぜひ『汝、星のごとく』をお楽しみください。
たくさん引用したのですが、最後に1つだけ。
とても凪良さんっぽいなと感じた言葉を引用しておしまいにします。
ありがとうございました。
それでは〜(・v・)ノシ
わたしにとって、愛は優しい形をしていない。どうか元気でいて、幸せでいて、わたし以外を愛さないで、わたしを忘れないで。愛と呪いと祈りは似ている。
凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社、2022年)P.269より