こんにちは。紅茶です。
今回ご紹介する本はこちら。
『52ヘルツのクジラたち』
どんな本?
基本情報(文庫版)
あらすじ紹介 & おすすめしたい方
家族にいいように利用されてきた女性・貴瑚(きこ)と、家族から虐待を受けている少年・ムシ。
貴瑚はこれまでの過去を捨て、田舎に引っ越してきた。そこでムシと呼ばれ、話すことができない少年と出会う。
誰にも届かない声をあげていた2人が出会い、停滞していた物語が前へ動き始める。
・前に進みたい方
・孤独を感じている方
・人気のある本が気になる方

本作は2021年本屋大賞第1位の作品です!
2024年春には、映画化も決定しています。
読みやすさ
特に読みにくいところもなく、サクサクと読めます。
(本作は虐待の描写が多く含まれますので、苦手な方はご注意ください)
この本の魅力
希望を与えてくれる
クジラは普通「10~39ヘルツ」の高さの周波数で歌っているそうです。
しかし、本書にも登場するクジラは「52ヘルツ」という高音の声で歌うため、他のクジラには声が聞こえない。そのため、その52ヘルツのクジラは仲間と出会うことができないのです。
貴瑚も少年も同じで、ずっと誰にも届かない52ヘルツの声をあげていました。ですが、2人が出会って、互いの声が届き始めます。
「自分もきっと52ヘルツの声で歌っている」と孤独を感じている方の心に、希望を与えてくれる一冊です。
次第に明かされる過去
次第に貴瑚の過去が明かされていきます。
貴瑚にはアンさんという大切な人がいるのですが、2人の関係を(恋愛って難しいな…)と思いながら読み進めていたら、まさかの展開!
その話を知ってから振り返ってみると全てに納得がいきます。著者の手腕がすごいなと感嘆しました。
紅茶の感想
読了して、色々な感情が入り混じって思わずため息が漏れてしまいました。
一歩前に進ませてくれるような、そんな作品でした。
文庫版を読んだのですが、カバーを捲ってみたらびっくり!本編を全部読み終わった後に見てみると面白いと思います。
カバー裏に仕掛けがある本って楽しいですよね(*・v・)♪
自分や誰かの52ヘルツの声
本作は希望の溢れる前向きな話というだけではなく、家族のあり方や難しさについても考えさせられました。人の身勝手さや怖さも書かれておりますが、人の優しさや温かさもたくさん感じられる作品です。
いつか自分の52ヘルツの声が誰かに届くように。誰かの52ヘルツの声が誰かに届くように。いつか自分も誰かの声を聞ける素敵な人になれるように。祈りつつ、そんな声を大切にして、希望を感じながら毎日を進んでいけたらいいな。
皆様もぜひ『52ヘルツのクジラたち』をお楽しみください。
最後に、私の心に残った言葉を引用しておしまいにします。
ありがとうございました。
それでは〜(・v・)ノシ
ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。
町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新書、2023年)P.264より