【本紹介&感想】声を聴かせて『52ヘルツのクジラたち』

こんにちは。紅茶です。

今回ご紹介する本はこちら。

52ヘルツのクジラたち

誰にも届かない、52ヘルツの声。
家族により心に傷を負った2人が出会う、前に進むための物語。

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目次

どんな本?

基本情報(文庫版)

著者   … 町田そのこさん
発売年月 … 2023年5月
出版社  … 中央公論新書

ページ数 … 312ページ
ジャンル … 小説

あらすじ紹介 & おすすめしたい方

家族にいいように利用されてきた女性・貴瑚(きこ)と、家族から虐待を受けている少年・ムシ。

貴瑚はこれまでの過去を捨て、田舎に引っ越してきた。そこでムシと呼ばれ、話すことができない少年と出会う。

誰にも届かない声をあげていた2人が出会い、停滞していた物語が前へ動き始める。

おすすめしたい方

・前に進みたい方
・孤独を感じている方
・人気のある本が気になる方

本作は2021年本屋大賞第1位の作品です!
2024年春には、映画化も決定しています。

読みやすさ 

特に読みにくいところもなく、サクサクと読めます。
(本作は虐待の描写が多く含まれますので、苦手な方はご注意ください)

この本の魅力

希望を与えてくれる

クジラは普通「10~39ヘルツ」の高さの周波数で歌っているそうです。

しかし、本書にも登場するクジラは「52ヘルツ」という高音の声で歌うため、他のクジラには声が聞こえない。そのため、その52ヘルツのクジラは仲間と出会うことができないのです。

貴瑚も少年も同じで、ずっと誰にも届かない52ヘルツの声をあげていました。ですが、2人が出会って、互いの声が届き始めます。

「自分もきっと52ヘルツの声で歌っている」と孤独を感じている方の心に、希望を与えてくれる一冊です。

次第に明かされる過去

次第に貴瑚の過去が明かされていきます

貴瑚にはアンさんという大切な人がいるのですが、2人の関係を(恋愛って難しいな…)と思いながら読み進めていたら、まさかの展開!

その話を知ってから振り返ってみると全てに納得がいきます。著者の手腕がすごいなと感嘆しました。

紅茶の感想

読了して、色々な感情が入り混じって思わずため息が漏れてしまいました。
一歩前に進ませてくれるような、そんな作品でした。

文庫版を読んだのですが、カバーを捲ってみたらびっくり!本編を全部読み終わった後に見てみると面白いと思います。
カバー裏に仕掛けがある本って楽しいですよね(*・v・)♪

自分や誰かの52ヘルツの声

本作は希望の溢れる前向きな話というだけではなく、家族のあり方や難しさについても考えさせられました。人の身勝手さや怖さも書かれておりますが、人の優しさや温かさもたくさん感じられる作品です。

いつか自分の52ヘルツの声が誰かに届くように。誰かの52ヘルツの声が誰かに届くように。いつか自分も誰かの声を聞ける素敵な人になれるように。祈りつつ、そんな声を大切にして、希望を感じながら毎日を進んでいけたらいいな。

皆様もぜひ『52ヘルツのクジラたち』をお楽しみください。

最後に、私の心に残った言葉を引用しておしまいにします。

ありがとうございました。
それでは〜(・v・)ノシ

ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。

町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新書、2023年)P.264より
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