こんにちは。紅茶です。
本屋さんで見かけて、綺麗な表紙に惹かれて、思わず手に取った小説…
まるで世界の優しい部分をぎゅっと濃縮したかのような、温かい気持ちになれる本でした。
とても良かったので、今回ご紹介いたします。
「最近なんだかうまくいかないな」という時は、是非お手に取ってみてください。
冬森灯さんの『すきだらけのビストロ』
どんな本?
基本情報
あらすじ紹介 & おすすめしたい方
イルミネーションで飾られた、小さなサーカステントとキッチンカー。
それは、シロクマのようなシェフと猫のようなギャルソンが運営する、期間限定のビストロ「つくし」。
「心が満ち、お腹も満ちたら、それは世界で一番おいしい料理だと思うんです。」
とある人を探しながら各地を旅するビストロには、様々な悩みを持つ人が集まる。
芸術とおいしい料理が織りなすハーモニーに、ホッと心が解れるおしゃれな一冊。
・芸術や料理が好きな方
・爽やかな小説が好きな方
・最近何だか上手くいかないな、という方
読みやすさ
読みやすさ的には普通です。
この本の魅力
贅沢な時間を味わえる
どうしてか、決まって芸術のあるところに現れるビストロ「つくし」。
ピアノや絵画、映画、舞台、能など、様々な芸術と共に振る舞われるおいしいフランス料理…
本当にビストロに入って料理と芸術を味わったかのような、満たされる濃厚な読書時間でした。
気持ちにゆとりを作ってくれる
本作の中に、心が疲れてしまった登場人物に向けられた、こんなセリフがあります。
「くらしの中のささいなことにも、目を凝らし、心に照らして、手を伸ばすこと。それから、大きく息を吸って、ゆるむこと。体でも心でも、ゆるむと少しの隙間ができるでしょう。そこに新しいものが生まれたり入り込む余地ができますよ」(P.187)
まさに、本書がその役目をしてくれています。
本書を読み、こわばった心を緩めてもらえた気がしました。
ホッと一息つきたい時、なんだか上手くいかなくて落ち込んでいる時、そっと寄り添ってくれる一冊です。
綺麗な表紙
深い青色が特徴的な、優雅な表紙!
見ているだけでも癒されます。
イラストはいとうあつきさん、装丁はbookwallさんです。
紅茶の感想
私はおいしい料理が出てくる本を読むと、しばらくの間、いつもよりも食事を味わうようになります。笑
つい「ながら食べ(スマホやテレビを見ながら食べる)」をしてしまうのですが、たまにでもいいから食事に集中するといいかもな、と思います。いつもよりも美味しく感じて、感動します。
意識が別の方に向いたまま何となく食べていると、自分が空腹なのか満腹なのかに気が付きにくく、限界を超えて食べてしまうことが多々あるので、気をつけたいです…(>_<)
「好き」を味わうために
「好き」がたくさんあっても、疲れている時は上手く味わえないですよね。
あまりに疲れてしまうと「そもそも何が好きだったのか」わからなくなってきて、何をやっても楽しくなくて、そしてまた焦って…みたいな悪循環に陥りがちです。
「休むことが大切」と言われても、どう休めばいいかわからない。
そんな時は本書にあるように、すてきな芸術に触れて、おいしい料理を味わう。
心にも体にもごちそうをあげてみる。
そうしているうちに、次第に心が解れていくのかもしれません。
上記でも述べましたが、本書もそうした芸術の1つだなと思います。
皆様も『すきだらけのビストロ』をお楽しみください。
最後に、わたしの心に残った言葉を引用しておしまいにします。
ありがとうございました。
それでは〜(・v・)ノシ
特別ななにかを持っているわけじゃなくても、流される日々ばかりでも、その時々にしっかりと根を下ろして過ごす一日が、ある時なにかのきっかけで特別な景色を見せてくれる。そんな生き方だって、きっとそう悪くない。
冬森灯『すきだらけのビストロ』(2023年、ポプラ社)P.111より