こんにちは。紅茶です。
今回紹介する本はこちら。
『黒紙の魔術師と白銀の龍』
どんな本?
基本情報
あらすじ紹介 & おすすめしたい方
小学生の悠馬は、友達と虫取りに黒爪山に出かけ、そこで黒いトカゲを捕まえる。
しかし、さっきまで動いていたはずのトカゲは紙でできており、動かなくなっていた。
悠馬は町の折り紙教室に行き、先生に折り紙のトカゲを預けるが、先生はトカゲと共に姿を消してしまい…。
折り紙をめぐる少年たちの冒険にワクワクさせられる、王道で楽しいファンタジー児童文学。
・小学校高学年くらい〜
・ファンタジーが好きな方

本作は2021年に募集された、第62回、講談社児童文学新人賞の受賞作『黒と白の対角線~おりがみおとぎ草子~』を改題・改稿したデビュー作です。
読みやすさ
文字も大きく、サクサクと読めます。
ふりがながついているので、小学生さん(高学年くらいから?)も楽しめます。
この本の魅力
王道ファンタジーが楽しい!
折り紙で作ったものが動き出すというファンタジーで心が踊る要素や、子どもたちだけで冒険に出るという少しの勇気とたくさんのワクワクが詰まった、楽しい一冊です。
(個人的にはタイトルの「黒紙の魔術師と白銀の龍」のかっこ良さだったり、折り紙の設計図を「陣」と呼んだり等、厨二心をくすぐられる要素も魅力の1つだと思っており、そこも好きでした。)
児童文学ですが、大人も楽しめると思います。
好きを大切にしたくなる
自分の好きなものを、揶揄われたり…
悪気はなくても、何気ない言葉がずっと刺さって、気持ちが後ろ向きになってしまうことってありますよね。
本作の悠馬と啓図(クラスメイト)もそうなんです。
悠馬は植物が好きだけれど馬鹿にされるのが怖くて話さないようにしていたり、啓図は折り紙が好きで教室で折っているけれど、クラスメイト達には「変わっている」と距離を取られていたり…
本作を通して「自分の、もしくは誰かの、何かを好きだという気持ち」を大切にしたくなります。
紅茶の感想
「折り紙」という身近にあって、幼い頃に何度も触れてきたものが物語の鍵。
今まさに、私たち大人よりも「折り紙」を身近に感じている子どもたちが読むと、没入感が違ってくるのかもしれないな、なんて思います。
私も久しぶりに折り紙を折りたくなりました。
心の難しさ(ネタバレを含みます)
悪役のことを書きすぎて感情移入しないように、という配慮があるかもしれませんが、悪役が割と救いようのない人でモヤッとしました。
親子の愛情、友達に真っ直ぐにぶつかっていく勇気、そんなことに尊さを感じる一方で、その悪役がどうしたら冷酷な人物にならずにすんだのか?と、そっちも気になりました。
人である限り「悪い心」というものは多かれ少なかれ、誰もが持っているものです。
でも、それ(自分のにも、誰かのにも)に呑まれないように、「善い心」を忘れてはいけない。
(今回の場合は悪役の悪意が強すぎて、呑まれないのは厳しい気がしますが…)
そのために必要なことはなんだろう?そもそも、何が善くて何が悪いのだろう?それはどうしてだろう?と考え始めて、止まらなくなりそうです。
話が逸れましたが、本作が鳥美山貴子さんのデビュー作とのことで、今後の作品にも期待が高まりますね!
皆様もぜひ『黒紙の魔術師と白銀の龍』をお楽しみください。
ありがとうございました。それでは〜(・v・)ノシ